田中ディレクター
開かれて在れ
これまでのキャリア
NTV「所さんの目がテン!」でディレクターデビュー。
NHKハイビジョン特集「人は走るために生まれた~ララムリ・驚異の持久力~」、「プロフェッショナル 仕事の流儀」、BS1スペシャル「The Big Wave Surfers~世界最大の波を求めて~」、「筋肉女子」、「ザ・ヒューマン~ソプラノ歌手・田中彩子~」「ファミリーヒストリー・眞栄田郷敦」などを担当。
趣味は山と温泉。
成功か、失敗か
NHK「新プロジェクトX」という番組を担当した。テーマは「メルカリ」。スマホひとつで誰でもカンタンに売り買いできる、あのフリマアプリだ。日米で1億ダウンロードを突破し、取引総額は年間1兆円を超える。しかし、自分の関心はサービスや会社にはなく、同い年(1977年生まれ)の創業者・山田進太郎にあった。片やビリオネアの成功者、片やしがないディレクター。…おや、これは失敗なのか?そんな問いに向き合うハメになった。
起き上がれ!小法師
大学に入学する頃、世間はインターネットの登場に沸いていた。これから、世界が変わる。
誰もがそう信じていた時代。そんなの真っ赤なウソだ。何でも“ナマ”がいいと思っていた。
でも、山田は違った。インターネットの可能性に賭けた。この差が、その後の分水嶺となる。山田はいつだって時代に従順だった。新たな技術が登場すれば必ず試した。SNSが流行るとソシャゲーに参入、スマホが登場するとアプリ開発に乗り出した。無論、成功の裏には星の数ほど失敗もある。だが、それを糧に学び、挑戦を続けてきた。世間では失敗とされることを失敗とも思っていないところが実に清々しい。野暮を承知でいえば、失敗は成功の元。だけど、普段からそれを実装している人がどれほどいるだろう(自戒)。
“時代”に向き合う
時代に対峙し、トライ&エラーを繰り返す。山田の生き様はまるで、番組づくりにおける通奏低音のようだ。「テレビは時代の鏡」とはよく言ったもんで、それをつくる側に求められるのもまた、時代との向き合い方なのだろう。試されるのは、流行を追うことではなく、時流を俯瞰してチョイ先を見せること。それが難しくて、おもしろい。
就活生に向けてのアドバイス
ところで、成功とは何か。創業5年で東証マザーズ上場、1代で資産家となった山田に聞いてみた。「あんまり成功とか失敗とかは考えてなくて、全部ひっくるめて“生きる”っていうことだと。自分がこれだ!と思ったものにチャレンジをして、そこから何を学んで、次に何を生かすかの方が重要だと思うんです。だから、自分のやりたいことが見つけられている時点で、もはや成功しているんですよね」。
救われた気がした。そんなマインドが、これから番組づくりを目指す人たちにも、
たとえ傍流としてでも流れてくれればいいと思う。
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