小林ディレクター
映画監督から「ねこ育て いぬ育て」ディレクターまで
ダメADが映画監督になれたワケ
16年前、私も「マイナビに登録して就活していたなぁ。」と思い出しました。そして、「この16年間で学生、AD、ディレクターとジョブチェンジし、映画監督も経験したんだなぁ」と感慨深さも感じております!
例えば22歳の私に「おじさん、俺、テレビやろうと思うんだけど、人生どうなってる?」と聞かれたら、「色々あるけど、割と良いんじゃね?でも、お前は面倒臭いからオレのADにするのは絶対に嫌だね。」と酒も飲めないのに一晩中、語り明かせそうです。武勇伝を語るおじさんの私…、22歳の私に嫌われそうですね~!!なので、映画監督ができた理由を簡単に。「自分に向き合えたから。」じゃないかと思うんです。原作者の中川学さんのおかげで、その作品を通してですが、私自身が抱える内面を企画に落とし込んだら、面白がってくれる人がいて、映画にできました。映画「くも漫。」是非、見てくださ~い!(宣伝スミマセン!)
あ、プライベートでは最近子どもも産まれました。第4子!!4人も子どもがいると、誰かしらケンカして、誰かしら泣いているので、イライラします。でも、柔らかい頬っぺたに触れると、パァ~~っと気持ちが晴れます。
私はネコになりたい
16年経っても番組作りは大変で、いつもヒィヒィ言って放送を迎えます。それでも「次も担当をお願い!」なんて言われることが増えてきました。ちなみに担当するテーマですが、毎回興味があるとは限りません。むしろ、ほとんど興味なし。ていうか、正直働かないで「美味しいご飯を食べたい!」と思ってます。
最近担当した「ねこ育て いぬ育て」。人がネコを育てるのを撮る前に、4人の子どもで手一杯です。「私はネコになりたい。」と願う、志の低いディレクターです。
ただどんな番組でも、楽しむことがあります。1つは「知らないことを知ったとき」。「犬なのに、散歩が苦手とかあるんだ。」とか、取材しながら「へ~。」と思うことがあれば、その興味を生かせること。2つ目は「向き合った人の感情が見えたとき」取材は様々な向き合いをたくさんします。(取材相手の方、ご面倒をおかけして申し訳ありません!)。それが実る瞬間が!「初めて犬を迎えたときの満面の笑み!」「犬が留守番できるようになった喜び!」。この感情を編集で反映して、物語ができていくのが楽しいです。見た人も喜んでくれたら尚更!お叱りを受けるときはただただ反省します…。
突然ですが、私の悩みを発表します。「やりたいことが分からない。」
色々と偉そうなことを書き連ねていたのに、申し訳ありません。なので、今一度「自分と向き合わなきゃな~。」なんて思っているのですが、家に帰れば子どもうるさいし、ほっぺは柔らかいし、と言い訳ばかりです。で、改めて考えてみると、フィクションをもっとやってみたい。という結論に至りました。物語を描く楽しみ、反省もあるし、それをカロリー高めでできる仲間と一緒に。せっかくこの業界入って、続けているんで名作残したい。でも最近くすぶってる~~。フィクションに関しては「担当をお願い!」って声がかかるレベルになっていないので、自分の琴線に触れる、見えていないものを掘らねば。歳を重ねるにつれて、色んなことに慣れて、見えづらくなっている気がします。
そうそう、就活も「自分に向き合う」っていう点では企画を考えることにものすごく似ていますね。やりたいことややれること、向き不向きを考える。そういうことをバカなりに結構考えた結果、番組制作者としてのスタートが切れて、今があるのかもしれませんね。
これまでのキャリア
「所さんの目がテン!(日本テレビ)」「Cool Japan(NHK BS-1)」などのADを経て、3年目で上記の番組のディレクターを担当。
これまでに「突撃!アットホーム(NHK総合)」「歴史秘話ヒストリア(NHK総合)」「所さん!大変ですよ(NHK総合)」「ねこ育て いぬ育て(NHK BSプレミアム)」のディレクターを担当しています。
他に30歳を過ぎて、ドラマ「僕にはまだ友だちがいない(NHK Eテレ)」、映画「くも漫。」の演出を担当しました。
先輩からの就職活動アドバイス
いつか自分の子ども達が同じように岐路に立ったとき、親として、社会人の先輩としてこんなことを言うかなと思います。
「向いていること、できること、何に喜びを見出せるかを洗い出してみ。」って。実はやりたいことがハッキリと見えていたら、サラリーマンという選択はしないんじゃないかと思います。よく分からないから、なんとなく就活しちゃう。そういうもんだと思います。
「だったら、フワフワしている自分を受け入れて向いていること、できること、何が喜び?ってことなら分かるんじゃない?」って伝えます。で、どの仕事も多かれ少なかれ大変で、面倒で、辛いことがあるから「目一杯、大変さを想像しろ!それでもどこか喜びを見い出せそうか?だったら、その仕事は人生を豊かにするものになるよ。」って言います。
ちなみにコロナ禍ですが、変わらずバタバタしています。リモートが増えて、取材の仕方や表現の仕方は変わっても、情報や人々の価値観は目まぐるしく変わり続ける。無くならない仕事だなと思いつつ、皆さんに大事に思ってもらえる仕事をしていきたいなと感じる今日この頃です。
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